ステータスパラメータをギャグに振りすぎたラブコメこと、『かぐや様は告らせたい』3期がやって参りました。
自分は同じアニメを何度も見るということはあまりしません。
よほど好きでない限りしませんし、垂れ流せるくらいの内容のものに限られます。
ただ、かぐや様は1期も2期も、何度も見返しました。
何度見ても笑えますし、軽い気持ちで見られるんですよね。
そのため、自分としては待望の3期だったというわけです。
前置きはこれくらいにして、本題に入っていきます
前座
メタ構造→メタいギャグ
まずメタいギャグを成立させるための導入です。
自分はメタ構造のお話が大好きなのですが、かぐや様は存分にその要素を見せつけてくれます。
冒頭、いきなり藤原がみかんの皮を剥き始めます。
心の準備が出来なかった視聴者は頭をバグらせながらも徐々に
「あぁ。これは生徒会メンバーの日常場面の一部だな。」
と認識するわけです。ところが
なぜかリモネンが近くにあった風船を溶かして大爆発。
「爆発オチなんてサイテー!」
とはよく言われるものの、冒頭でいきなり爆発させるとはなんて掟破りな。
もうわけがわかりません。
しかし、この一連の流れによって、この作品は視聴者の存在を意識してつくられたことが、視聴者にとっても明白になります。
この前座は
「生徒会メンバーたちの世界に入り込んで楽しむのではなくて、視聴者は視聴者自身の立場で、つまり生徒会メンバーのいる世界とは違う階層に存在する世界及び人間の立場で、楽しんでください」
というメッセージになっているということです。
どういうことかわからなければ、
「これはあくまでフィクションだよ。アニメの中の話だよ。だから物理現象とかも無視するよ。どんな非現実的なことだって起こるよ。」
という注意書きみたいなものだと思ってください。
そして実際に、前座の最後では
なぜか校舎が降ってきます。こんなこと起こりえませんね?でもいいんです。フィクションだよって、言ったのだから。
この校舎もジオラマみたいな感じになってて、明らかにメタ構造みたいなものは意識されていると思いますね。
そしてこの前座があったから、どんだけ意味のわからないことが起きても、冷めることなく作品を楽しめるというわけです。
(まぁ、もとよりギャグアニメだし、そんなことは考えないか。)
「伊井野ミコは癒されたい」
伊井野ミコはヒーリングミュージックを聴きながら勉強するそうです。
僕もよくASMRを聴きながら勉強します。一緒だね^^
癒やし曲その2は工事現場の音かと思いきやラクダの鳴き声。
ここまでも面白い要素はいくつかあったのですが...
またメタ構造が飛び出してきました。
後ろに平然とラクダがいるんですよね。
「気づかないのか?w」
と思うけど、これは僕らにしか見えてないのです。
このあと石上の後ろにもラクダが出てくる。石上なら気づくか...?ってなるけどもちろん気づきません、w
背景効果
その後、石上は伊井野にイヤホンジャックが抜けてることを指摘しようとするものの、指摘したらしたでめんどくさそうという。まぁそうだよね。
「聞かなかったことにして!」
つって記憶消えるまで殴り続けるんじゃないかな。
そんな中の一場面。
この謎の背景、度々登場するんですけど、これ自体になにか面白くする要素みたいなものはなさそう。
ただ、こういったカットを挟むことによってテンポ感がよくなっている気がします。伊井野と石上のいる空間の映像を流し続けても、間延びしちゃいますし。
あと、これLINEスタンプっぽいよね。たぶん意識していると思うんですけど、こういった要素を入れることによって、極限まで「退屈さ」を潰しているような気がします。
笑いとシリアスのギャップ
伊井野にイヤホンジャックが外れていることを直接伝えることはできず、石上自ら身を削ることになります。石上のこういうキャラクター性も魅力的ですよね。
石上が流す曲はいかにもな電波曲で、ひたすら
「萌え萌えキュンキュン」
と言い続ける曲。これは確かに聞かれたら恥ずかしい。
その場面での1カット。
バックでひたすら
「萌え萌えキュンキュン♪」
と流れる中、窓際に向かって独白を続ける石上。
このギャップを作り出すのも面白い要素。
なにやってんだよ石上。
結局伊井野が聴いてた梅原ボイスは公になる。
梅原裕一郎さん、俺も大好きなんだよね。わかる。
男でも聴いてるとゾクゾクしてくるからね。
最後は何事もなかったかのように帰る生徒会メンバー。
なんで伊井野は平然としてられるんだろうね。何もかも忘れ去ったのかな。
一方、なぜか一番落ち込んでる石上。
このギャップよ。
電波ソング聴いてるのがバレたの、やっぱショックだったか。
「かぐや様は気づかない」
かぐや様がこの前、スマホデビューしました。
そこからLINEデビューする話。
スマホとかのパンフレット見てピョンピョンしちゃう早坂。
わかるよその気持ち。俺もそういうの大好き。スペック比較したり、アンドロイド機種によくある「こんなん使わないでしょw」みたいな機能とかワクワクしちゃうよね。一緒だね^^
身近な話題をネタにする
話題の中心は「既読」
誰もが一度は既読云々の会話をしたことがあるんじゃないかな。
こういった身近な話題をネタにするのがほんとうに上手いと思います。
身近な話題だと、そこからどういう話をするのか、ある程度わかりますよね。
あまり細かい説明しなくても、前提知識みたいなものが共有されてるから話を展開させやすいってのはあるよね。
ただその一方で、身近な話題をネタにして面白くするのは難しいと思います。
あまりにありふれていて、どういう話に展開させても想定内だったり、「あぁその話ね」とマンネリ感が出てしまったりする。
でも結果としてはめちゃくちゃ面白かったからね。
こういった話題を調理するのがほんとに上手いと思う。
不意打ち
既読を知らないかぐやに対して、既読を知ってる白銀が
「あれ、かぐや。俺のメッセージが来るのがそんなに嬉しいのか?」
と思い込むいかにもなやつ。
その心理戦の最中、あまりに自然に、かつ不自然に溶け込む白銀圭(可愛いね)。
この深刻な白銀に対してこの圭のギャップがまず面白い要素ではあるのですが...
白銀が悩んでいる間、話すこともナレーションで触れられることもなく、日常的な背景に圭が溶け込んでいる。しかもこの場面が2回繰り返される。
すると流石に視聴者も
「あぁ。圭はなんかいるけど、なにもしないんかい!というネタだな」
と認識して一旦は無視してしまいます。
しかし、そののち
トーク画面を開きっぱなしにしていたかぐやは3回連続即既読をつけていたことが判明。
「青ざめる早坂!」「混乱する白銀!」「伸びをするかぐや!」
とここまではまぁ想定内だが
「ストレッチをする圭!」
いや、ここで出るんかーい!wwww
と思わずツッコミをしてしまいましたが、このスピード感、テンポ感で圭を出されると、瞬時に脳内で先ほどまでの白銀圭(日常モード)と結びついて、もう反射的に笑わざるを得ないという。
あまりに精巧につくられてますよ、このアニメは。
「藤原千花は闘いたい」
たいして重くない荷物をなかなか運べない石上。
それに対して、軽々と運ぶ藤原。
「それでも男の子ですか?」
と藤原が言うと...
石上なら言うと思ってた。
大げさな演出
先ほどまでに述べた要素がここでもふんだんに出ていますね。
「全生徒会」というワード自体大げさ(だって、たかが数人ですよ?)だし。
そのために飛行機飛ばして横断幕を引っ張るなんてこともしないでしょう?
(かぐや家ならできそうだけども)
その辺はやはりメタ要素を感じますよね。
視聴者にしか見えていないこの横断幕。
"腕相撲"で、しかも"生徒会内"で、行うだけの大会にこういった大げさな演出を盛り込むのはお得意の手法です。
また、このepの話題は「腕相撲」
先の「既読」よりも行き渡った概念なのではないでしょうか。誰でもやったことがあるでしょう。腕相撲。
それなのに、面白いんですよね。ほんとすごい。
手のひら返し
腕相撲でトーナメント戦を行うことに。
石上はかぐやと当たるのですが、そのときのひとこと。
「まぁ男ですから?それくらいハンデがないとお話にならないですよ(笑)」
さっきの発言はなんだったんだ?w
人の"性差別"発言を指摘するくせに、息をするように"性差別"発言を繰り返す。
この前にも
「そうはいっても僕は男ですから。女の藤原先輩より筋肉ありますよ。」
とか
「さすがに女、子供に負けるほどヤワじゃありません」
とか
怒濤の"性差別"発言ラッシュ。
(ここで用いた"性差別"という単語については全て石上がいうところの意味で用いています。)
この手のひらクルクル感が面白いですよね。
メリハリ
石上vsかぐや戦
どう見ても石上の即オチ2コマ展開ではあるのだが、それには留まらない。
それだけでも面白いんだけどね。
まるで動かないかぐやの腕のくだりの間の空け方がほんと上手い。
勢いの殺し方っていうのかな。
「石上が瞬殺しようとしたら、逆にかぐやが石上を瞬殺」の流れかと思いきや、一旦ここで流れを止めるんだねw
何も挟まないでかぐやが瞬殺する展開でも面白かったとは思うけど、ここで一旦止めることでメリハリつくよね。
石上だけ平行移動していくのも面白いよね。
かぐやの動かない感が誇張して伝わるから、一旦カットを止めてはいるのに、笑いの流れは止まってないような気がする。
挿入歌
あまりのかぐやの動かなさを
「岩、?」
と心の中で呟く石上も面白いのだが、この場面、バックで『We Will Rock You』が流れている。
RockはそっちのRockじゃないだろというのはあるんですけど、岩という単語が出てきてこの曲流れたらもう笑うしかないだろと、w
リフレイン
腕相撲大会は2回戦へ。
白銀vs藤原。
予想に反し、接戦を繰り広げるが...
持つ手の位置によって、有利不利が出るらしく、それを指摘された藤原はいつだかの姑息藤原を想起させる(『かぐや様は告らせたい』9話「藤原千花は見舞いたい」参照)。
リフレインというのは繰り返しのことで、ただそれっぽく使ってるだけなのですが、要は天丼ネタです。
忘れた頃にこれを出すもんだから、直感的に過去の笑った記憶に結びついて、まぁ反射的に笑ってしまうよね。
そしてこれはこの直後にも出てきます。
この謎カットね。(たぶんラジオ体操パロ)
これだけ見れば息をするようにズルをする藤原を、そのまま描いたに過ぎないのですが。
この絵面、さっきも見たよな?と、気づくと思います。
2つ目のep「かぐや様は気づかない」で全く同じ構図の早坂ver.がありました。
息をするようにズルをする藤原が出てきたときにこれが想起されるから直感的に面白く感じるっていう、w
そう考えると、この姑息藤原の辺りのギャグって相当たたみかけているよなと、w
実際のところ、笑いが止まらんかったですわ。
語りたかった面白いポイントは以上です。このあとも面白かったけどね。白銀がかぐやにぶっ倒されるとことか、筋肉姫とマッチョタワーのくだりとか。ぶっとんでて最高。
1話でこの密度って頭おかしいよ。こんだけ書いたけど、これでも全体の半分くらいしか面白いポイント抑えてないと思う。
結構テンポに依存しているところもあって、なかなか文章にしづらいっていうのもあるし。
長くなってしまいましたが、以上になります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
(なお、画像は全て、かぐや様は告らせたい製作委員会から引用しています。)